Apr 12, 2010

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 以前の記事で、いまヘッドフォンアンプがちょっとしたブームになっていることを紹介したが、しかしそれはUSB DAC機能があってこその話。そう、この人気は純粋にヘッドフォンアンプが盛り上がっている訳ではなく、あくまでもPCオーディオ製品の中核たるUSB DACの普及に伴う、付加機能的な拡がりであることは事実だ。

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 しかしそういった動向がきっかけで、ヘッドフォンアンプが超マイナーな製品から、気軽にiPodなどを楽しむ一般ユーザーに対して認知度が高まったこともまた事実。ということで、今回は、注目度の高まりに応えるべく、(USB DAC機能はさておき)ポータブルプレーヤーで活用できるヘッドフォンアンプについて、その使いこなし方法とオススメ製品を紹介していこう。

 そもそもヘッドフォンアンプとは、音声信号を増幅する、小さい音を大きくするための道具であって、あくまでもヘッドフォンの能力を生かすための機能品に過ぎない。しかもその機能は、すでにポータブルプレーヤーに内蔵されているもの。それをわざわざ導入するなんて、一見無駄のように思えるかもしれない。しかし、これこそオーディオの奥深さの1つであり、「増幅」という行為の難しさを証明する証拠でもある。

 そう、小さな音を大きくしようとすると、音がひずんだり細やかさが低下したりするデメリットが生じやすいのだ。音楽の場合、それが音質やリアリティに直結するため、こだわり派の人たちが質の良い「ヘッドフォンアンプ」を求めたがるのである。

 また、欧州製のヘッドフォンなどでは、高いインピーダンス特性を持つ製品も多く、ポータブルプレーヤーのヘッドフォン出力ではボリュームが確保しきれない場合がある。こういった場合にも、ヘッドフォンアンプは有効だ。もともとポータブルプレーヤーは、付属品レベルのイヤフォンを想定して設計されているものが多い。デジタルオーディオの製品クオリティーは確実に格段に向上しつつも、高級ヘッドフォンが使われることまではあまりフォローされていない。このため、プレーヤーやヘッドフォンの種類によっては、別体のヘッドフォンアンプが必要となってきてしまうのである。

 しかしその一方で、ヘッドフォンアンプの評価は真っ二つに分かれている。ある人は「ヘッドフォンアンプは必須」といい、方や「たいして音は変わらない」と意見する人もいる。なぜ、ここまで評価が分かれてしまうのだろう。

 そういった結論に達するには、さまざまな理由が考えられる。筆者が察するに、大半は使いこなしの問題だと思われる。先に紹介したように、ヘッドフォンアンプは性質的に機能品であるのにもかかわらず、同時に音楽再生の難しさを内包するパートでもある。上手く使いこなさないと、高い効用を獲得しにくいのだ。

 とはいっても、なんら難しい話ではない。基本的な事項をほんの少し工夫するだけで済む、簡単な話なのである。

●ヘッドフォンアンプの正しい使い方

 まずヘッドフォンアンプを導入した際、ポータブルプレーヤーのヘッドフォン端子にそのまま差そうとする人がいるが、これは絶対NG。なぜなら、せっかく音質的なボトルネックになりがちなアンプ(+ボリューム)パートを外部の高性能品へ独立させたのに、内蔵部分をパスさせず2重経過しては元も子もない。ヘッドフォンアンプを活用する場合は、ドック出力ケーブルの使用は必須事項だ。

 次に、AKGやゼンハイザー、フィリップスなど、欧州製のイヤフォン/ヘッドフォンを使っている人は、ボリュームだけでなくゲイン切替が付属しているモデルを推奨する。なぜなら、機種によってはインピーダンスの高い、要はアンプに高い駆動力を求める製品が存在するからだ。こういったヘッドフォンの場合、相性の良いヘッドフォンアンプをうまく選び出すことによって、いままでの印象が嘘だったかのようにイキイキとしたサウンドを手に入れることができるようになる。製品選びの際、実際に自分のヘッドフォンを持ち込んで試聴させてもらうなど、じっくりと製品を選ぼう。

 さて、ここで結論を言おう。上記のような部分に注意すれば、ヘッドフォンアンプはポータブルプレーヤーのサウンドを確実に向上してくれる。しかもそれは、誰もが一聴で体感できるレベルでの話だ。特にこれまでの記事で紹介したような、中級〜上級イヤフォン/ヘッドフォンでは、効果のほどを確約できるほど。音楽をより楽しませてくれるアイテムとして、ぜひヘッドフォンアンプを活用しよう。

 ヘッドフォンアンプを活用するうえでキモとなるのが、ドックコネクターからライン出力のアナログ音声を取り出すことができる、ドックケーブルの活用だ。これを利用せずヘッドフォン端子から音声を取ると、せっかくのヘッドフォンアンプも宝の持ち腐れとなってしまう。製品は各社から発売されているが、先日発表されたばかりの「Fiio L9」(2310円)は、長さ6センチのPCOCC-A導体ケーブルがコネクター部横出しでレイアウトされており、サウンドクオリティーとともに使い勝手の良さも嬉しい。

●今回の特集で取り上げる製品一覧

・コストパフォーマンス最高のエントリークラス「Fiio E5」
・ただのリモコンとあなどるなかれ、オーテク「AT-PHA31i」
・洗練されたデザインとサウンド、「nuforce Icon Mobile」
・コンパクトなボディーから望外の熱いサウンド「iBasso T3 Hj」
・番外編:USB DACとしても活用できるハイパフォーマンスモデル「iBasso D2+ Hj Boa」
・iPodデジタル接続採用高級モデルの実力はいかに!? FOSTEX「HP-P1」

●試聴において使用したリファレンス機器

 今回の試聴には、製品の特徴を様々な角度から検証するため、ポータブルプレーヤーやイヤフォン/ヘッドフォンに関しては、複数のモデルを使用した。それらの製品をここで紹介しよう。

●iPod nano 第4世代モデル

 ポータブルプレーヤーの定番でもある「iPod nano」を、今回のメインプレーヤーとして使用した。最新モデルである第6世代は、ヘッドフォン出力だけでなくライン出力にも独特の音質/音場的な瑕疵があり、評価の基準には適さないと判断。第4世代モデルを活用することとした。第4世代モデルのヘッドフォン出力の音は決して上質とはいえないが、ライン出力はそれなりのクオリティーが確保されているため、ヘッドフォンアンプの評価にはもってこいの製品だ。

●iPod touch 第3世代モデル

 iPod nanoとともにiPod touchも適宜音質チェックに活用した。使用した製品は第3世代となるが、音質的には最新の第4世代と大きく差はないため参考にはしてもらえるだろう。ヘッドフォンアンプを組み合わせたサウンドを試聴するとともに、iPod nano+ヘッドフォンアンプの音質に対しての差などもチェックしている。

●ウォークマン「NW-A855」

 ソニー・ウォークマンの最新モデルにして最上位モデルは、フルデジタルアンプS-Masterにより良質なサウンドを実現しているほか、付属ヘッドフォンを活用することで騒音を約98%もカットするデジタル方式のノイズキャンセリング機能も利用できる。「ヘッドフォンアンプは必要ない」と巷でいわれるほど音質に定評あるウォークマンだが、実際にヘッドフォンアンプと組み合わせることでどのような効果がみられるかをチェックした。

●SHURE「SE535」(ブラウン)

 高級カナル型イヤフォンブーム立役者のひとり、SHUREの最新かつ最上位モデル。解像度感、帯域バランス、音数の多さ、空間表現など、サウンドクォリティーに定評を持つ製品である。当然ながら、ポータブルプレーヤーのヘッドフォン出力ではその実力を存分に発揮しきれていないことは分かっている。ヘッドフォンアンプを活用することで、SE535がどこまでクオリティーアップするかを今回1つの指標とした。

●フィリップス「SHE9900」

 昨年登場したフィリップスの最上級モデル。バランスド・アーマチュア型ドライバー1基とは思えないワイドレンジ再生とイヤーチップが360度動くフレックスインイヤー構造によって、高いフィット感と上質なサウンドを提供してくれる。実はこのSHE9900、一聴するとおとなしめのHiFi調サウンドに思えるが、それはアンプの駆動力に対し敏感に反応した結果。ヘッドフォンアンプの駆動力によっては、SHE9850を純粋にクォリティーアップしたかのような、メリハリと勢いのあるサウンドも垣間見せてくれた。主にヘッドフォンアンプの駆動力チェックに活用。

●ソニー「MDR-Z1000」

 リファレンス・スタジオモニターと銘打った、ソニー製オーバーヘッド型ヘッドフォンの新フラッグシップモデル。ヘッドフォンアンプに強烈な駆動力を求めるタイプではないが、すべての音をさらけ出すきめ細やかさと高SN、ワイド&フラットレンジを持ち合わせる優秀さによって、製品の音質的特徴を確認するのに大いに役立った。

●Fiio L3

 iPodのドックからアナログライン出力を取り出すのに活用する、iPhone/iPod/iPad対応のDOCKケーブル。ケーブルにPCOCC-A導体を使用するなど、比較的リーズナブルな価格ながらも音質に対してこだわりを持つ。長さは8センチ。

●Fiio L5

 ウォークマンのS/A/E/Xシリーズに採用されるWMコネクター搭載モデル対応のDOCKケーブル。iPod用のL3同様、PCOCC-A導体ケーブルを使用するなど使いやすさだけでなく音質に対してのこだわっている。長さは8センチ。

【野村ケンジ,ITmedia】


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Posted at 12:19 in Dollar | WriteBacks (0) | Edit
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